養老軒の素材の旅

鮮烈な香りと甘さを丸ごと味わう

愛知県豊橋市  巨峰

巨峰を包み込んだジューシーなおいしさ

香り高い果汁をたっぷり含み、紫色に輝く果実の宝石、巨峰。濃厚な甘さと鮮烈な香りは、巨峰が誇る特別な味わいです。

養老軒の「丸ごと巨峰の大福」は、その名の通り、巨峰をそのまま包んだ大福。

初夏の訪れと同時に販売がスタートし、主に愛知県内の旬の産地を追って10月末くらいまで販売しています。

入荷する巨峰の中から、毎日十分に熟している粒を選び抜き、薄い紫の表皮部分を残すように表面の厚い皮だけをそっと手ではがし、ジューシーな果汁を封じ込めます。

ブドウ果汁で染めた淡い紫色の餅の中に丸ごとの巨峰、ブドウの果汁を加えた優しい白あんとホイップクリームを組み合わせて包み込みます。ほおばるごとに甘酸っぱさが口に広がり、ふわふわの餅と滑らかな具材がとろけます。

日差しをコントロールして良質な実に

愛知県は全国4位の栽培量を誇る巨峰の一大産地。中でも豊橋市は、温暖な気候からほかの産地よりも早く、夏の訪れと同時に市場に出回ることでも知られています。市内の北東部地域では、1945年から本格的に栽培が広がり、約60haで栽培がされていて、ハウス物は6月から、露地物は7月から出荷が始まります。

取材に訪れたのは、豊橋市内の27aで約1万房を栽培する磯部泰宏さん=写真左=のブドウ畑。強烈な日差しが降り注ぐハウスの中には、青々とした葉の間から重さでずっしりと垂れた大きな巨峰が実っていました。実をつけ始めると日当たりをさえぎらないように葉を適度にワイヤーでくくりつけ、まんべんなく太陽を浴びせます。収穫を前に断熱材などで作った傘をかぶせ、みずみずしい水分と糖度を高め、色の濃い巨峰へと仕上げていきます。

果皮の色はアントシアニンと呼ばれる天然色素で、含有量が多いほど黒くなります。磯部さんは「アントシアニンは、光に影響を受け、気温25℃くらいで色が乗ってきますが、早い時期に高温が続くと合成ができなくなってしまう」と話し、実が重なったり、葉が覆い被さったりしないように枝葉の伸びを想定し、混み合わないように剪定しておくことでまんべんなく黒に近い紫に近づけます。

実を付け始める春から夏にかけては、枝切りや房切りで忙しさのピーク。この作業のタイミングが、甘さや質の出来を決めることから、朝から晩まで入念な作業が続きます。巨峰はひと房に約400のつぼみを付けますが、大粒で甘くするために花摘みや粒抜きをすることで、一房に30粒程度ができるように調整します。

根が養分を吸い上げる力がなくなると枝が広がらなくなりますが、切り詰めると100年も実をつけるといい、磯部さんの畑では樹齢30年を越す古木からも甘い実をつけます。水はけが良く乾いた赤い土壌を好むブドウは、適度な雑草が土を柔らかくし、湿度を与えます。ただ湿度を高くすると害虫も増えることから、適切な防除をしながら、減農薬を目指して育てています。「空梅雨はブドウが甘くなり、曇りが多いと糖度が落ちます。雨が多いと高温多湿になり、カビが発生してしまいます」と天候や湿度が大きく影響するため、日々の状況に合わせて、管理して手を施します。

デリケートな果物だけに病気や害虫も多く、おいしい実は、サルやイノシシ、カラスにも絶好の標的となり、頭の痛い存在です。
冬には剪定や棚の修理、年が明ける頃には、防除のために幹を手入れし、春先は土作り。巨峰は1年を通じて休みなく管理をして、ようやく実をつける手間暇のかかる果実です。

豊橋で確立した種無しの技術

人気のある種なし巨峰は、豊橋のある農家によって生み出された栽培技術で、1977年に植物自身が作り出す天然成分の植物成長調整液、ジベレリン処理による種なし化に成功しました。種がないことで食べやすく、スイーツの具材としても用途が広がり、初夏を感じる贅沢なフルーツとして人気が高まっています。

紫色の濃い甘みと芳醇な香り。美しい一粒は、自然の恵みと1年間をかけて大切に育てる農家の努力の結晶です。

丸ごと巨峰の大福は、6月末から10月末ごろまで販売(ただし入荷状況によって変わる場合があります)。

詳細は商品ページをご確認ください。